• 弁護士コラム

共有物分割請求について

近年、不動産価格の上昇の影響もあり、共有不動産に関するご相談が増えています。
その多くは「共有関係を解消したい」とのご相談であり、タイトルの「共有物分割請求」とは、各共有者に法律上認められている共有関係の解消を求める「権利」のことを言います。

「権利」ということを敢えて強調したのは、この共有物分割請求権を行使しますと、共有関係は「必ず」解消されることになるからです(なお、例外的に、共有物分割請求権の行使が権利濫用に該当して共有関係の解消が認められないケースもありえますが、極めてレアケースですので、本コラムでは割愛します)。

この共有物分割請求権が「権利」として認められているのは、所有権が物に対する全面的・包括的支配権であり、所有者は物を自由に使用、収益、処分ができることが大原則であるからです。
この点、複数人で一つの不動産を共有している場合には、各共有者は、当該不動産を自由に使用、収益、処分することができません。
多くの方が勘違いをされているのは、例えば、200平方メートルの土地を4名で4分の1ずつ共有している場合、各共有者は4分の1の50平方メートルを「独占的に」使用できるのではなく、200平方メートルの土地全体を「非独占的に」使用できることになります。
換言しますと、各共有者は、他の共有者の承諾を得なければ土地を使用できませんし、多くの場合において、使用するのであれば、他の共有者に対して、4分の3に相当する使用料を支払う必要が生じます。
こうした共有という例外的状態を解消して、単独所有もしくは現金化という原則的状態に戻すことができるよう、共有関係を「必ず」解消できる「権利」として共有物分割請求権が認められているのです。

共有関係の解消方法としては、大きく分けて、①現物をもって分割する(過不足は金銭で調整する)、②共有者全員で売却して金銭をもって分割する、③共有者の一人が他の共有者の持分を取得する、の3つの方法が考えられます。

上記の3つの方法のいずれかで、話し合いが纏まれば問題ありませんが、話し合いが纏まらなかった場合には、共有物分割請求訴訟という裁判を行うことになります。
この裁判手続においても、審理と並行して、和解協議が行われることになります。
そして、和解協議が纏まらなかった場合には、裁判所が、判決という形で、上記の3つのいずれかの方法での分割を命じることになります。

以上のように、共有物分割請求を行えば、最終的には、共有関係は何らかの方法で「必ず」解消されることになります。
そのため、現在、共有不動産の使用収益状況に不満を感じている方は、その共有という例外的状態を解消して、単独所有もしくは現金化という原則的状態に戻すべく、共有物分割請求権の行使を検討して頂くことをおすすめします。

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