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従業員が死亡し、会社も協力して労災申請を行った事例

状況

長時間勤務が続いた後、従業員が会社で借り上げていたアパートで、心臓疾患で突然死し、会社も協力して労災申請を行った。しかし勤務時間が正確に記録されていたためこれを調査した所、①忙しい時期はあったが厚労省の過労死基準に該当しなかった。②勤務後の入浴時に発生したものであった。③健康診断の記録から、会社が把握していない不整脈を有していた事が判明した。ため、労働基準監督署の調査においてその旨を適正に述べた所、労災には該当しないとの判断がなされた。

背景

従業員が亡くなったのは大変残念でしたが、平素よりトータルでの残業時間は管理しており、遺族の悲しみは理解できるものの、会社には責任はないものと考えられました。

結果

労働基準監督署は、調査の結果、持病による突然死であり業務起因性がないものとして労働災害に当たらないものと判断しました。
ご遺族は当初は会社への損害賠償請求も検討していましたが、会社が最初から全面的にご遺族の手続きに協力したうえで労働基準監督署の判断がなされたことと、会社側の丁寧な説明に一定の納得が得られたことから、会社が規定通りの退職金を支払うことで、訴訟を行うことなく円満に解決しました。

POINT

コンテンツ作成の会社において、納期の間近にはどうしても残業が連続することから、会社でアパートを借り、帰りが遅くなる時には使ってもらっていました。大きなプロジェクトがあり、問題となった従業員の残業が続いた後、期限ぎりぎりにプロジェクトは完成しました。
従業員は当日当該アパートに帰ったものの翌日午後になっても出勤せず、連絡も取れないことから、会社で大家立ち合いの下当該アパートの鍵を開けた所、驚いた事に当該従業員は浴槽内で死亡していました。
直ちに遺族に連絡した所、遺族はここ数週間アパートへの宿泊が連続していたことから従業員の健康を心配しており、その心配が現実のものとなったという事で、過労死を疑い、労災を申請すると同時に、会社への損害賠償請求も検討するとのことでした。
会社としては、この様な事態にどの様に対応すべきか分からないという事で、当事務所にご相談を頂きました。

まず当事務所では、①当該プロジェクトにおける当該従業員の勤務状況を、亡くなる当日まで可能な限り正確・詳細に確認する。②当該プロジェクトにおける当該従業員の勤務状況や様子について、同僚の従業員からヒアリングを行う。③平素の勤務時間の管理状況の実態を報告して頂く。 ④ご遺族から、当該従業員のカルテを取り寄せて頂く 事をお願いしました。その上で、死亡の原因等がはっきりしない事から、まずはご遺族の労災申請に協力し、各種労働災害の申請書類を提出する事としました。

①~④の結果、以下の事実が判明しました。(1)当該プロジェクトの納期間近には残業が続きましたがその月の残業時間は100時間には到達していなかったし、直近の6カ月の平均も80時間以下でした。(2)当該従業員は概ね元気な状態で当該プロジェクトに取り組んでおり、特に健康を害している様子は認められませんでした。(3)会社は平素から残業時間の管理には留意していました。(4)当該従業員には、会社が把握していない不整脈の持病がありました。
その後、順次労働基準監督署の事情聴取・調査が行われましたが、其々の場面に当事務所の日本医師会認定産業医資格も有する弁護士が立ち合い、(1)~(4)の事情を詳しく説明しました。それと同時に遺族にも、(1)~(4)の状況について丁寧に説明しました。

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