質問

 残業代に時効はありますか?

回答

あります。

残業代請求権は、賃金請求権の一種です。賃金請求権は、給与支払日から2年間経過すると時効により消滅します(労基法115条)。
例えば、平成27年1月分の給与が、1月末日締め、2月25日払いだとすると、給料日の2年後である平成29年2月25日を過ぎることによって、残業代が時効消滅するわけです。

質問

 労働時間を証明する証拠としてはどんなものが必要ですか?
 
 

回答

最も望ましいのはタイムカードです。

タイムカードさえあれば、概ねタイムカードどおりの労働時間を裁判所に認定してもらえる可能性が高いです。
タイムカードがない場合でも、業務日報、シフト表、タコグラフの記録(運転手の場合)等、勤務先の公式の記録であれば証明力は高いと言えます。
仮に公式の記録がなくても、業務上のメールの履歴や社用パソコンのログオン・ログオフ履歴、パソコンやスマートフォンに私的にインストールした出退勤管理アプリ・GPS行動記録アプリ、手帳に記載したメモ等も証拠になり得ます。
また、飲食店等で1人体制の勤務だった場合、店舗の営業時間=労働時間ですので、店舗の営業時間の証拠自体が労働時間の証拠になることもあります。

このように労働時間の証拠は多種多様であり証明力の程度も様々ですが、具体的な証拠評価は個々の事案によりますので、まずはご相談ください。

質問

 手元に労働時間を証明できる証拠がないのですが、残業代を請求することができますか?
 
 

回答

証拠が「手元に」なくても残業代請求は可能です。

典型として、「タイムカードはあるが会社が保管している」という場合がよくありますが、弁護士が代理人に就任して使用者にタイムカードの開示を請求すると、使用者は開示してくる場合が多いです。
仮にその時点で任意に開示されなくても、裁判手続になると、裁判所がタイムカードの開示を促してくれますので、ほとんどのケースで開示されます。
裁判所に促されても任意に開示しない場合は、裁判所が文書提出命令を発令してくれる場合もあります。
また、トラック等の運転手の残業代請求事件ではタコグラフが決定的な証拠となりますが、これもほとんどの場合開示されます。

質問

 残業代が出ない業界・職種はありますか?
 
 

回答

業界・職種によって残業代を出さなくても良いということはありません。

残業代の発生を妨げる契約とか就業規則というのは確かにありますが、業界・職種で一律に決まるようなものではありません。
「残業代は発生しない」という使用者の言い分は、一般的には通らないことが圧倒的に多いですが、個別の案件について通るか通らないかは詳しく事情をお聞きする必要があるので、まずはご相談ください。

質問

 「みなし残業制」とはなんですか?その場合残業代は請求できないのですか?
 
 

回答

「みなし残業制」という法律上の制度はありません。

「みなし労働時間制」という制度はありますが、俗に言われる「みなし残業制」というのは、「みなし労働時間制」とは別のものを指していることが大半です。具体的には、「固定残業代制」のことを指している場合が多いと思われます。
「固定残業代制」とは、残業代のうち一定の額を予め固定的な基本給や手当に組み込んで支払う制度です。
このような制度自体は(一定の条件はありますが)適法であり、予め定めた範囲内の残業については、追加で残業代を支払う必要はありません。

しかし、予め定めた範囲を超える残業に対しては、当然に割増賃金を支払う義務が生じます。
例えば、「月の所定労働時間が160時間、基本給が18万5000円で、基本給に残業代20時間分を含む」という契約だったとすると、方程式を使えば、残業代分が2万5000円であることがわかります。
この場合、その月の残業時間が20時間以下であれば、基本給しか請求できません。
しかし、20時間を超えて残業した場合には、超えた分については請求できるわけです。

質問

 管理職は残業代を請求できないのですか?

回答

請求できます。

労基法上、「管理監督者」(同法41条2号)には残業代を支払わなくても良いことになっていますが、一般論として、いわゆる管理職のほとんどは、管理監督者には該当しません。
具体的に個々の労働者が管理監督者にあたるか否かについては、詳しくお話を伺う必要がありますので、まずはご相談ください。

質問

 残業代を請求することによる不利益はありますか?

回答

法的にはありません。

残業代請求は労働者の正当な権利ですので、労働者が残業代を請求したからといって、それを理由に不利益を与えることは違法です。
勿論、在職中に請求する場合は「気まずい」といった事実上の不利益はあるかもしれないので、実際上は退職後に請求する方が多いです。

しかし、残業代は給与支払日の後2年を経過すると時効で消滅してしまいますので、仮に退職後に請求するにせよ、是非とも在職中からご相談ください。
在職中からご相談いただければ、証拠収集等についても有効なアドバイスが可能です。
退職後は会社に出入りできないため、証拠収集が難しくなる場合がありますので。

質問

 残業代の計算方法を教えてください。

回答

(月給制の場合)まず、月給を月あたりの平均所定労働時間で割って基礎時給を出します。
この基礎時給に割増率(単なる時間外労働なら1.25倍)をかけて、残業代単価を出します。
これに残業時間をかけると、残業代を算出することができます。

例えば、月給32万円、月あたりの平均所定労働時間が160時間の労働者が、月60時間の残業(深夜労働、休日労働は無し)をした場合を考えてみましょう。
この場合、基礎時給が2000円、残業代単価が2500円ですので、この月の残業代総額は、2500円×60時間=15万円、となります。