質問

 労働災害とはなんですか?

回答

労働災害とは、「業務上の事由又は通勤による労働者の負傷、疾病、障害、死亡」のことをいいます。

さらに労働災害の中で、仕事を原因とするものを業務災害、通勤を原因とするものを通勤災害といいます。労働災害は、省略して「労災」と呼ばれることが多いです。

質問

 労働災害と認められるとどのような給付を受けることができますか?
 
 

回答

労働災害と認められた場合には、労災保険から、①療養(補償)給付、②休業(補償)給付、③傷病(補償)年金、④障害(補償)給付、⑤介護(補償)給付、⑥遺族(補償)給付、⑦葬祭給付の給付を、その事案に応じて受けることができます。

労働災害が負傷、疾病の場合には、①②③の給付が受けられます。障害の場合は、それに加えて④の給付が受けられます。障害等級が1級及び2級の場合には、さらに⑤の給付を受けられる可能性があります。死亡の場合には、⑥⑦の給付が受けられます。

各給付について具体的内容を説明しますと、①はいわゆる治療費です。
通院する医療機関が労働者の居住地又は勤務地から片道2㎞以内で、かつ同一市町村内の適切な医療機関であれば、通院費も支給されます。

②は仕事を休んでいた期間の賃金の補填です。
しかし賃金の全額ではなく、給付基礎日額の8割が支給されます。給付基礎日額とは、労働災害発生時の直前3カ月分の賃金を暦日数で割ったものですが、イメージとしては平均日給です。支給が受けられる休業期間は、休業4日目から休業終了日までとなります。なお休業3日目までは、事業主から休業補償として平均賃金6割が支払われることになります。また②の給付をうけるためには、休業の理由が労働災害の療養のためであること、労働することが出来ないこと、賃金が支払われていないことが条件となります。

③は療養から1年6か月を経過しても負傷又は疾病の症状が固定しておらず、かつ、その症状が1級ないし3級に該当する場合に支払われる年金及び一時金です。支給額は、その等級によって異なります。

④は後遺障害が残った場合に、個々の後遺障害等級に従って支払われるものです。
1級から7級では年金及び一時金が支払われ、8級から14級では一時金が支払われます。支給額は、その等級により異なります。

⑤は障害(補償)年金または傷病(補償)年金を受給している者のうち、1級又は2級の精神・神経の障害、胸腹部臓器の障害があり、かつ現に介護を受けている者に支払われる給付です。
支給額は、介護費用の実費ですが上限額が決まっています。親族等が介護を行い、介護費用を出費していない場合や介護費用が一定額に届かない場合には、常時介護の場合には5万6790円、随時介護の場合には2万8400円が支払われます(平成27年4月現在)。

⑥は労災により労働者が死亡した場合、労働者の遺族に支払われるものです。
給付の内容としては、年金と一時金があり、それぞれ受給できる者の条件や順位が決まっていますが、おおよその順位は、配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹となっています。年金については、先順位の者が死亡や再婚等で受給権を失うと、後順位の者に受給権が移ります。

⑦は労働災害により労働者が死亡した場合に、葬祭の費用として支払われるものです。
支給対象は、通常は葬祭を行うにふさわしい遺族ですが、葬祭を執り行う遺族がおらず社葬になった場合、その会社に対して支払われます。支払われる額は、葬儀費用の実費ではなく、31万5000円に給付基礎日額30日分を加えた金額になります(給付基礎日額60日分がこれに満たない場合は、給付基礎日額60日分が支給額となります・平成27年4月現在)。

質問

 労働災害が発生した場合の手続を簡単に教えてください。
 
 

回答

労働災害が発生した場合、まずは治療が優先ですから、医療機関にかかってください。

この際には労災指定病院にかかると、治療費を支払わずに済みます。指定以外の医療機関では一度治療費を立て替えることになります。
また、労災が起こった日時や場所、状況などを控えておくと良いです。さらに、通勤中や出張中など、会社の外で労働災害が起こった場合には、すぐに会社へ連絡してください。また交通事故などの第三者による労働災害の場合には、被災者の場合には「第三者行為災害届」、加害者の場合には「第三者行為災害報告書」を滞りなく労働基準監督署に提出する必要があります。次に、労働基準監督署に対し、労災保険の給付を受けるために、請求書及び必要書類を提出してください。会社が代わりしてくれる手続をしてくれる場合もありますが、原則は被災した労働者本人またはその遺族が手続をすることとなっています。
上述しましたように給付は7種類ありますが、これらはそれぞれ請求書及びその必要書類を提出する必要があります。たとえば、療養給付の手続をとっただけでは、休業給付を受けることはできません。また、同じ給付でも、個々の事情によって請求書の所定用紙や必要書類が異なってくるため、個々の事情に合わせた手続を進める必要があります。
ただし③だけは、労働基準監督署長の職権により決まるため、労働基準監督署から書類提出を求められた場合に提出することになります。また、請求には会社の証明が必要となるため、会社に協力を要請してください。ただ、会社が協力してくれない場合でも労働基準監督署の方に事情を説明することで請求はできますから、無理に協力してもらう必要はありません。請求手続は早急に行う必要はありませんが、いずれの請求権も2年または5年の時効があるため、長期に放置されますと請求権が失われますから、適時に手続した方がいいでしょう。

質問

 労災保険が給付されるかどうかはどのような点から決まりますか?
 
 

回答

労災保険が給付されるかどうかは、労働災害と認定されるか否か、すなわち負傷や疾病、障害、死亡が業務上の事由または通勤が原因で生じたと認められるかどうかにより決まります。

労働災害の認定は、労働者が使用者の支配下にあること(「業務遂行性」)及び業務に起因して生じたこと(「業務起因性」)の二つの要件が問題となりますが、主に問題となるのは業務起因性です。業務で用いる機器等によって起きた事故や通勤中に起きた事故による負傷や死亡であれば特に問題となりませんが、休憩時間に生じた場合や、疾病の場合には、業務に起因して生じたかどうかが一見して明らかではないため、業務起因性が問題となることがあります。労働基準監督署から、労災認定できないと言われた場合でも、業務遂行性や業務起因性を立証することで労災認定されることもありますので、諦めずに弁護士にご相談ください。

質問

 労働災害に合った場合、慰謝料を請求できますか?
 
 

回答

その労働災害が、第三者の故意または過失によって生じたものであれば、その第三者に対して慰謝料請求をすることが出来ます。

また会社施設の管理方法が適切ではなかったなど、会社に何らかの落ち度があったために労働災害に遭った場合には、会社に対し安全配慮義務違反であるとして慰謝料請求をすることが出来ます。慰謝料が請求できるかどうかは、詳しくお話を伺う必要がありますので、まずはご相談ください。