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借地権の譲渡について、承諾に代わる許可を求めて借地非訟を申し立てた事例

事案

依頼者であるXさん(80歳、女性)は、親から引き継いだ借地上の建物に長年居住していましたが、建物は古くて段差も多く、高齢のXさんが住み続けるのは難しい状況でした。
そこで、Xさんは、借地権と建物を売却し、その売却代金で設備の整ったマンションか施設に移り住もうと思い、地主のYさんに借地権の譲渡の承諾を求めました。
しかしながら、地主のYさんは承諾してくれず、そればかりか、借地契約があと数か月で終了するので建物を取り壊して出て行ってくれと言われてしまいました。
建物を取り壊すとなると数百万円の費用がかかり、転居どころではなくなってしまうため、困り果てご様子で当事務所にご相談に来られました。

POINT

借地上の建物を譲渡する場合には、同時に借地権も譲渡することになります。
そして、借地権を譲渡する場合には、地主の承諾が必要であり、地主の承諾なしに借地権を譲渡してしまいますと、借地契約を解除され、建物を取り壊して、土地を返還しなくてはならなくなってしまいます。
今回の事例では、地主のYさんは承諾を拒絶しており、このままでは借地権を譲渡することはできないとも思えます。
この点、借地借家法(旧借地法)では、このように地主が借地権の譲渡を承諾しない場合の制度として、裁判所が地主に代わって、借地権の譲渡を許可するという制度を設けています。

結果

地主のYさんは一切の話合いに応じず、借地権の譲渡を承諾してもらえる見通しが立たなかったため、 地方裁判所に承諾に代わる許可を求めて借地非訟を申し立てました。
借地非訟手続では、土地の価値、譲渡の理由などの主張立証を行い、譲渡承諾料の支払を条件に借地権譲渡を許可する旨の判断がなされました。
なお、今回の事例では問題となりませんでしたが、地主には「介入権」という権利があり、借地権を自ら買い受けることを主張することができます。その場合には、適正価格の支払を条件に地主が借地権を買い受ける旨の判断がなされることがあります。

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