弁護士コラム

秋田地裁で駐車の後遺症で約1321万円の賠償を命じた判決がありました

秋田地裁で駐車の後遺症で約1321万円の賠償を命じた判決がありました
秋田大医学部付属病院(秋田市)で2016年に注射を受けた女性が、担当した研修医の不注意で後遺障害が残ったとして、大学側に約4826万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、秋田地裁は23日、約1321万円の賠償を命じた。大学側は医療過誤や神経損傷について認めており、後遺障害の範囲や賠償額などが争点となっていた。
判決理由で綱島公彦(つなしま・きみひこ)裁判長は「3年近く経過している現時点で頑固な神経症状が残っている」と指摘、女性が主張した後遺障害の一部を認めた。
判決によると、女性は16年9月、みぞおちの痛みで病院に搬送。研修医による注射を受けた際、女性は強い痛みを訴えたが研修医は中止せず、右腕の神経を損傷、女性は右手の関節を動かすと痛みや震えが出る後遺障害を負った。
秋田大医学部総務課は「判決文を精査した上で、今後の対応を検討したい」とコメントしている。

(弁護士解説)
静脈注射による神経損傷は比較的頻繁に生じる後遺症で、当事務所でも何度かご相談を受けています。今迄は「一定の確率で起こる止むを得ない後遺症」という事で中々後遺症が認められてこなかったのですが、1321万円という高額の賠償が認められたのは画期的だと言えます。本判決では、女性が駐車中に強い痛みを訴えたにも関わらず中止しなかった事、強い後遺症が残った事が判決に影響したものと考えられます。今後同種の訴訟が生じるものと考えられますし、当事務所でも積極的に取り扱っていきたいと考えます。