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腹痛で救急搬送された20代女性の子宮外妊娠破裂を見逃して死亡した事例

事案

20代の女性が腹痛を訴え、輪番で2次救急の当番に当たっていた都内の外科開業医に搬送された。患者は1週間前に自然流産との診断を受けた事を医師に告げた。医師は診察の上「急性胃腸炎」「過換気症候群」と診断し入院の措置をとり、処置としては痛み止めの注射と輸液のみであった。夜間患者は再三、強い痛みを訴えたが、痛み止めを追加されたのみであった。翌日5時頃には血圧が50/43に低下した事が看護師から報告されたが特段の処置はなされなかった。朝7時半、付き添っていた夫が、患者が息をしていないことに気がつき、医師に連絡して心肺蘇生が行われたが、9時に死亡が確認された。
死亡後の行政解剖で、死因は子宮外妊娠破裂による失血死であると判明した。

事務所の対応

死亡後すぐ当事務所で相談を受け、行政解剖を行ってもらうよう助言しました。これにより死因が明確となり、経過から医師の過失も明らかであったことから、裁判はスムーズに進みました。医師の過失が明確であったことから当初からマスコミでも報道され、救急体制の見直しにもつながった社会的に意義ある案件であったと思います。患者さんが若かったこともあり賠償額は6,700万円と高額になりました。

解説

若い女性の子宮外妊娠破裂は、「腹痛」「盲腸」等と誤診されやすい疾患ですが、それ故に「若い女性の腹痛を見たら、必ず子宮外妊娠破裂も疑う事」と教科書に記載されています。本件では年齢や経過から当然子宮外妊娠破裂が疑われる(自然流産との診断はむしろ子宮外妊娠を疑わせる)状況であり、また高度の血圧の低下や頻回の強い腹痛の訴えがあったにもかかわらず、患者様が何ら対処されることなく漫然と放置された、驚くべき症例であったと思います。
この様な例でも、解剖がなされないと死因が不明確となって過失が立証できないことがあります。医療過誤・医療事故にあってしまったかもしれないと思われたら、遠慮なく当事務所にご相談ください。

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